about KOVAP
チェコ共和国の首都プラハから車で北へ100kmほど離れたボヘミア地方のセミリという町に、
半世紀以上も昔の工作機械をメンテナンスしながら今日でもブリキのオモチャ(TinToy)を作り続けているKOVAP(コヴァップ)社があります。
1946年に創業したセドラック兄弟玩具製造会社を前身とするKOVAP社は、チェコスロバキア社会主義共和国時代にはブリキのオモチャだけでなく、金属加工品や戦略物資を製造する国営工場として稼働していましたが、1991年の東欧革命後から本格的にブリキのオモチャ専門の製造工場となりました。
KOVAP社を代表する製品はトラクターといえるでしょう。
チェコは国民の主食であるジャガイモや、ビール消費世界一を誇る国として上質なホップの
生産が盛んなお国柄で、実際に日本の有名酒造メーカーがチェコのホップを採用している
ことは近年では有名です。
これによりチェコでは1年を通してトラクターの稼働率は高く、牧歌的な田園風景の中を
勇壮に移動するその姿は、今日でも子供から大人にまで親しまれ続けています。
そのチェコで最も有名なトラクターメーカーが Zetor ゼトル 社です。
1946年に創業以来、欧米をはじめ世界80カ国に100万台以上のトラクターを供給した
実績のあるゼトル社製トラクターの初号機を、KOVAP社は実走するブリキのオモチャとして約300もの工程を経て、手仕上げで忠実に再現しています。
オフセット印刷により色鮮やかに仕上げられたブリキ板をパンチプレスで型を抜き、型絞や
折り曲げたりして立体感を出した後に手作業で組み立てて行きます。
その仕上がり具合はブリキのオモチャとは思えないほどリアルです。
そして、3段変速とバックのギアーまでも装備され、ステアリングも前輪と連動しています。ゼンマイの巻き上げ位置はボディーにはなく、目立たない右後輪のホイル中央に設けるなど、そのオモチャとは思えないほど手の込んだ外観の見栄えからは、昔ながらの製法で製造し
続けている意気込みが伝わってきます。
さらに、KOVAP社は、ドイツのニュルンベルクに存在したCKO社という玩具メーカーにおいて
1930年代から製造されていたブリキ製のフォルクスワーゲンやメルセデスベンツのミニチュアカーの
金型や冶具を1979 年に譲り受けています。
CKO社の廃業後、多くの金型は中国へ渡りましたが、フォルクスワーゲンやメルセデスベンツのミニチュアカーは、
今日もKOVAP社の工場にてCKO社の刻印を施し、当時のモデルをリプロダクションしています。
現在ではゼンマイを巻き上げれば走行するモデルも製造しており、その技術力からも見られるように、近年までに現代的な乗り物や大型特殊車両など数多くの
製品を製造し、お子様が安全に遊べるオモチャとして「CE」マークを取得し、ヨーロッパの検査機関の厳しい検査をパスした製品も数多く製造しています。